日本では、さまざまなハラスメントが取り沙汰されています。その一つがセクハラ(セクシュアルハラスメント)。実際に体験したり話を聞いたり、そんな人も多いのではないでしょうか。
・日本や海外で一体どんなセクハラが起こっているのか?
・セクハラにはどんな種類があるのか?
・セクハラにあった際何をすればいいのか?
セクハラの基礎について分かりやすくお伝えします。
- 仕事関係者からセクハラに会ったことがある人は56%
- セクハラの種類は対価型と環境型の2つ
- セクハラにあった際は慌てず落ち着いて証拠を集める
Contents
実際どのくらいセクハラが起こっているの?

セクハラの実態
日経DUALが2018年7月に調査した「職場でのセクハラ・パワハラに関するアンケート」によると、「仕事関係者からセクハラにあったことがある」と答えたのは56%。何と半数以上の人が、「セクハラにあったことがある」のです。
続いて、「誰からセクハラを受けましたか」という質問を見ると男性上司がトップで55.7%。ついで直属でない男性上司35.4%、社外の人16.5%と続きました。(複数回答可)このように、セクハラをしてきた相手で最も多いのは「男性の上司」だったのです。
出典元:日経DUAL
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO35633760R20C18A9000000/
海外で起こったセクハラに対する流れ
Googleでは解雇も
2018年10月25日、アメリカ大手のIT系大手のGoogle社は過去2年間でセクシャルハラスメントにより48人を解雇していたと発表しました。何とそのうち13人は幹部だったそう。これほどまでの大企業でもこのようにセクハラが起こっていたのですね。
そしてGoogle社ではセクハラに対して、「解雇」ときちんとした処分をしています。
#MeToo運動
2017年に#MeToo運動(セクハラにあった体験をお互いに話してシェアする)が活発化したことを覚えていますか?
これは2017年10月5日に、映画プロデューサーによるセクハラが告発され、多くの女優たちが自らのセクハラ体験を語り、大きなムーブメントとなったもの。エンターテインメントの世界でもセクハラは多かったということで、驚いた人も多いのではないでしょうか。
セクハラに遭ったとき、みんなどうしたの?
「セクハラの実態」でも取り上げた日経DUALの調査によると「セクハラに関して誰かに相談しましたか?」という回答に対して、「女性の同僚に相談」は36.7%。ついで「相談しなかった」が31.6%でした。
誰かに相談する人がいる一方で、どうして誰にも相談しない人がいるのでしょうね……。実は回答によると、「相談して解決できると思えない」「自分が不利になる、働きにくくなる」といった声が上がっていたのです。
セクハラは大きな問題ですが、それを伝えることによって、望まぬ異動が生じたり、噂をされたりなど、働きにくい環境になってしまうことも。そうなると、安心して働くことはできません。
また違う職場を探すことも簡単なことではありませんよね。そういったさまざまな悩みから被害者は、誰かに相談することを諦めてしまうのでしょう。
セクハラの種類は?事例も知っておこう

セクハラは大きく分けて2つ!
対価型セクシュアルハラスメント
仕事での地位を利用して、性的な関係を要求したり性的な部分でひいきなど待遇に差をつけたりする行為のこと。たとえば、上司から「性的な関係を持たないと昇進させないぞ」と脅されるなどがあります。
環境型セクシュアルハラスメント
社内や社外などさまざまな環境で性的な言動を繰り返して相手に嫌な思いをさせること。たとえば、 「もう少し短いスカートをはけばいいのに」と言われるなどがあります。
実際に起こったセクハラから事例を知ろう
ケース1 誘いを断ったら仕事教えてくれなくなった
ある22歳の女性が職場に配属され、そこで30代の既婚男性がトレーナーとなりました。
男性は彼女に対して丁寧に仕事を教えており、彼女も男性を頼ることが増えました。その矢先のこと、彼女は男性から食事に誘われたのです。そこで男性は、人間関係や趣味などさまざまなことを話し、彼女はそれを楽しく聞いていました。
しかしその後、また食事に誘われたのです。男性は既婚者。既婚者とこうして食事をしていることで、誤解を招くことも考えられます。その理由から彼女は断ったのですが、何度も誘われるようになったのです。
そして仕事に変化が起きました。何と、彼女がトレーナーの男性に仕事について相談をしても答えてくれなくなったのです。そんなことが続いたある日、彼女はまた男性から食事に誘われました。正直、行きたくはなかったのですが、これ以上仕事に影響がでるのは嫌だったので食事に行くことにしました。その時は以前と同じように普通の会話ができたのですが、食事の後カラオケに誘われ、いきなりキスをされたのです。
彼女はお店を飛び出すようにして帰ったものの、その後も何度も誘われるようになりました。しかし、その誘いを断ると、仕事の相談に乗ってもらえない、仕事について報告してもフィードバックがもらえないなど、困ったことが起きるのです。
仕事に支障を出さないため…会社に迷惑をかけないため…と、仕方なく食事の誘いを受けていたある日、今度は食事後にバーへ行くことに。するとその帰りに急に抱きしめられ、ここでも彼女は驚いて逃げ帰りました。
その日から彼女に異変が起きるようになりました。寝付けない、食欲がない、会社に行こうとすると動けないなど、明らかに体調が悪くなったのです。そして会社を休むことが増え、ある日メンタルクリニックを受診すると、「うつ病」と告げられたのです。
その後彼女は人事部に相談。その結果、男性は懲戒処分のち異動となりました。
ケース2 タクシー内で起きたある会社のセクハラ
ある会社で、会社主催による食事会が行われ、21名が参加。そのうち4人が3次会まで出席しました。
そして午前1時頃、被害者の女性と男性が同じタクシーに乗り帰路につこうとしたその車内で事件は発生したのです。 男性は、被害者の女性に対してキスをしたり、性的な行為を求める発言を繰り返したりしたとのこと。
その後女性は、上司にこの行為を訴えると共に、ショックから仕事を休むようになり、半年後に退職してしまいました。そして加害者の男性と会社に対して裁判を起こし、損害賠償を請求したのです。
この裁判では、 被告と会社に損害賠償が認められ、女性に対して241万円が支払われることとなりました。
セクハラにあった際、何をすればいいの?

1.証拠集め
まず、いつどこでどのようなことがあったか証拠を集めましょう。 メモにまとめたり録音したりしてできるだけ証拠を残してください。
証拠が少ないと、どのようにセクハラが起こっていたのかが分からないため、対処が難しくなってしまうのです。分かる範囲で記録を取り、証拠を残していきましょう。
2. 周囲に声掛け・相談
可能な限り、「セクハラが起こっていること」「それによって困っていること」などを周りに相談します。周りには、何が起こっているか分からないこともあります。また何より、自分が辛い思いをして潰れてしまっては元も子もありません。
何より、こうして相談することで 周りにも事実が伝わりますし、何かあった際に力となってくれることも。たとえば、セクハラがあったことを証言してくれる可能性も高くなるのです。
3.社内の相談窓口を活用
人事部など社内の相談窓口に、セクハラの事実やそれによって困っていることを伝えます。とはいえ、「相談していいのかな?」「誰が言ったか分かってしまったら大変」など考えて、ためらってしまうこともありますよね。
でも安心してください。
こうした窓口は、そういった「声をあげられない人を助ける」ために用意されているもの。また、誰が相談したか分からないようにしながら、速やかに対処を進めてくれるプロでもあります。 安心して相談しましょう。
4. 社外の相談窓口を活用
場合によっては、「労働基準監督署」や「こころの耳」など社外の窓口を使うことも一つの手です。
ただし、労働基準監督署の場合、証拠が少ないと動いてくれないことも。相談前にできるだけの証拠を集めて、いざというときにすぐ相談できるよう体勢を整えておきましょうね。
まとめ

もしセクハラにあったとしても、慌てることはありません。まずは落ち着いて証拠を集め、周囲の人たちに相談しましょう。その上で社内や社外の相談窓口を利用し、事態の解決に努めていくのです。
あなた自身の心と体を守るためにも、セクハラにあった際は、まずは自分にできることを1つずつ実行していくことが大切。一人で悩まず、 周りの力を借りていきましょう!
セクハラ以外にも「ハラスメント」には色々な種類があります。様々なハラスメントのご紹介や対処法、労災認定の方法などをまとめた記事もあるので、ぜひ併せて読んでみてください。
