育児や介護で使える「時短勤務」を知っていますか?正式には短時間勤務制度と呼ぶもので、その働き方は今や一般的になっています。
そんな時短勤務について
・実際、どのくらい導入されているのか
・得られるメリットは何か
・実はデメリットや問題点もある
・問題点を解決する方法6点
から見ていきましょう。
- 時短勤務制度を導入している事業所は、育児と介護どちらも6割超え
- 時短勤務には収入や精神的な安定とメリットが多い
- デメリットや問題点もあるが、解決方法もちゃんとある
Contents
時短勤務って一体どんな制度?導入の割合は?
時短勤務とは、通常よりも短い時間で勤務するスタイルで、正式には短時間勤務制度といいます。2009年、改正育児・介護休業法により導入されました。
短時間勤務制度では原則、労働時間は5時間45分から6時間までとなっています。
時短勤務はどのくらい導入されているの?
実際、どのくらい時短勤務は導入されているのでしょうか。
厚生労働省が平成30年7月に発表した「平成29年度雇用均等基本調査」から、育児と介護、それぞれにおける時短勤務の実態を見てみます。
育児での利用状況
育児のために短時間勤務制度を導入している事業所は66.4%。平成28年度は60.8%だったので、5.8ポイントの上昇となっています。
最長利用可能期間は、「3歳未満」が57.0%で半数以上を占めました。それ以外は、「小学校に入るまで」18.9%、「小学校に入るまで&小学校に入ってからも対象」39.0%となっています。
介護での利用状況
介護のために短時間勤務制度を導入している事業所は61.6%。平成26年度は57.5%だったので、4.1ポイントの上昇でした。
利用者の割合を見ると、平成29年度で2.5%。平成24年度では1.9%だったので0.6ポイントの上昇となっています。
出典:平成29年度雇用均等基本調査|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-29r/03.pdf
時短勤務のメリットは?
では、時短勤務によってどんなメリットを得られるのでしょうか。
収入を確保できる
もし、仕事を辞めた場合、収入が途絶えるため、育児や介護それどころか生活にも支障を来たしてしまうでしょう。
時短勤務なら、働き続けられるため収入は途絶えませんよね。
精神的に安定しやすくなる
育児や介護は、ワンオペになりやすいもの。もしそうなった場合、前向きな発想がしにくくなったり「一生このままなのかも」と落ち込んだりする状況も増えてしまうでしょう。
しかし時短勤務で仕事をすれば、外に出たり他の人と話をしたりします。また仕事の時間と育児や介護の時間とメリハリもつくでしょう。
これらにより、気持ちが切り替えられ精神的にも安定しやすくなるのです。
負担が減る
もし仕事を辞めてしまったらどうなるでしょう。
「早く次の仕事を見つけなきゃ」と焦ってしまいますし、空白期間が生じれば転職の際、「この期間は何をしていたのですか」と尋ねられ不利になる可能性も。また新しい仕事を見つけたとしても環境や業務の流れに一から慣れていくため負担が増えてしまいますよね。
時短勤務によって仕事を継続できるだけで、多くの負担が減るのです。
意外と気付かない!時短勤務のデメリットや問題点
メリットが多いように見える時短勤務ですが、デメリットや問題点もあります。これら問題点は、「なってみないと分からない」場合も多々。
今はそうでなくとも、「こうなる場合もある、もしそうなったら自分はこうしよう」と早くから想定しておくとよいですね。
制度として存在するのに……
会社に時短勤務制度があるにもかかわらず、申し出ても使わせてもらえない場合があります。なぜこうなってしまうのでしょう。
その理由として
・周りが遅い時間まで働いているから
・時短勤務制度を利用した人がいないから
・今は繁忙期だから通常どおり働いて欲しい
などがあるそうです。
羨ましいという声に苦しくなる
時短勤務で早く帰る際、勤務時間の短さを羨ましがられる場合も。時短勤務を利用している人は、育児と仕事の両立そのものが大変な状況にありますよね。しかし、状況を体験していない相手にはそれが分からない場合もあるのです。
羨ましがる相手と両立に悩む自分、そのギャップをどう埋めたらいいのか、迷いは尽きないとされています。
もしかして私……「蚊帳の外」?
時短勤務を申し出た後、仕事の内容が変わり、今までよりも責任のない仕事や雑用を任されてしまう場合もあるそうです。
しかし時短勤務を申し出るほどの状況で前と同じ仕事をしたとして
・これまでと同じように成果を上げられるか
・今までと同じように滞りなく進められるか
不安は生まれてしまうでしょう。
自分が蚊帳の外にいると感じていても、どうしていいか分からない、こういった悩みがあるとされているのです。
うまくいかなくてイライラしちゃう!
・時間通りに仕事が終わらない
・家事や育児、介護が上手くできない
などできないことに目がいってしまい、イライラしてしまう状況もあるとされています。
もう悩まない!時短勤務の問題を解決する方法6点
このように時短勤務には、デメリットや問題点もあるのです。
これだけを見ていると、不安になる人もいるかもしれませんね。しかし安心してください。問題を解決する方法はあります。
1.「完璧」を目指さない
「すべてにおいて完璧」を目指そうとすると、できないところに目がいってしまいがち。
・今日は自炊じゃなくお惣菜を買って中食にしよう
・洗濯は明日でもよいかな
など緩いスタンスも取り入れましょう。精神的な余裕を確保できます。
2.お願いできる人を見つける
家事代行サービスといったプロから任せられる親しい人まで、お願いできる人を見つけましょう。自分ではどうにもならない部分を物理的に助けてもらえるだけでなく、「お任せできる=やらなくてよいことが増える」ため、精神的にも楽になりやすいです。
3.柔軟に切り替える
・仕事が終わらないけれど、また明日から続きをやろう、持ち帰れるなら家で進めてもいいかも
・何となくつらさばかり考えてしまう、こんなときは早めに寝よう
このように「切り替え」を意識すると、心の余裕が保ちやすくなります。
4.気にしすぎない
時短勤務制度の利用により、周りとすれ違ってしまう場合も。
しかし縁がある人なら、いっときすれ違っても分かり合える可能性は高いです。また「すれ違った」と思っていても、いざ話してみたらお互いの理解が深まるかもしれません。
しかし「周りを気にしすぎ」れば、自信をなくしたりやることがおろそかになったり、本来のあなたのよさが失われてしまう場合も。「今はすれ違うなどそういう時期なのかもなあ」など、気にしすぎないようにしてみてくださいね。
5.相談先を見つける
可能なら、直属の上司や同僚に「時短勤務で見えた困りごと」について相談してみましょう。ただその際、単なる愚痴にならないよう注意してください。
できるだけ冷静に「こんな出来事があってとても困っているんですが、何かいい方法はないでしょうか?」と前向きな相談を心掛けるのです。これにより、「現状と困っている内容」が伝わりやすくなりますし、適切なアドバイスがもらえる可能性も高まります。
直属の上司や同僚など、直接会う人に相談するのが難しい場合は人事部の窓口などを活用しましょう。
6.未来に目を向ける
目の前ばかり見てしまうと、つらさや大変さばかり考えてしまいますよね。
そこで、「未来」に目を向けます。
・子どもが大きくなったらいつかこのときの話をしてあげよう
・家族といられるのは今だけなのかも
このように、未来に目を向けて考えると、
・今はこうだがずっと続くわけではないよね
・これもこれで大切な時間なのかも
と思えるようになっていくのです。
理想のワークライフバランスのために
時短勤務にはメリットとデメリット両方あります。
しかし問題を解決する方法はありますし、「今、自分は何ができるだろう」と探していく視点を持てば、解決の糸口が思わぬ点から見つかることも。
上手に問題を解決しながら時短勤務を活用して、理想のワークライフバランスを目指してみてはいかがでしょう。