仕事をしていれば、誰でも一度は「辞めたい」と思うことがあるものです。そう感じることが頻繁に起こったとき頭をよぎるのが「転職」の2文字。
仕事は、通勤時間を含めると1日の1/3以上を占めます。「転職したい」という気持ちが膨らむにつれ、行動に起こしたくなる衝動も強まるでしょう。
問題なのは「辞めたい」という気持ちだけで安易に転職した場合、失敗する可能性が高いこと。転職するなら、事前の準備や対策が必要です。
まずは、あなたの大切にしたいこと…「お金」「人間関係」「仕事の満足度」「時間の自由度」などの優先順位や、妥協したくない点などをしっかりと見極める必要があります。しっかりとチェックすることで、どのような転職があなたにとって最適なのかも把握でき、さらにはあなたの今後の人生にも大きく影響するでしょう。
今回は、転職を考えている方、ちょっとだけ悩んでいる方へ「転職の心得」をお伝えします。今後の参考にしてみてください。
- 仕事の悩みを徹底的にリストアップ
- 「逃げたい」気持ちの安易な転職はタブー
- 転職を決めた時は「7つのポイント」を大切に
何で悩んでいるの?職場でのお悩みをリストアップ
まずは、現在のあなたの仕事における悩みについて掘り下げてみましょう。何で悩んでいるのかをリストアップし、さらに細かく自分と向き合うことがおすすめです。
①「時間」の問題
通勤時間、休憩時間、休日日数、休日出勤や残業に不満がある。結婚や育児により生活スタイルが変わったため、無駄な通勤時間がネック。
②「場所」の問題
働いている会社や店舗の場所、転勤や出張などに不満がある。
③「仕事内容」
携わっている職種、メインの仕事以外の当番制の仕事などについて思うところがある。実際に働いてみて、本質的に自分と合わなかった、ということも考えられる。
④「人間関係」の悩み
上司・同僚・部下、取引先の方などとのいさかいがある。また、社内でのでの派閥やグループ意識に疲れている。
⑤「お金」の悩み
給与やボーナスの金額に不満がある。現実問題、生活が厳しい。
⑥その他
ランチタイムの過ごし方や、仕事の後の飲み会・イベントなどがつらい。実業務以外の面で、合わないと思うことがある。
以上のことに関して、できるだけ細かく書き出していきます。どんな些細なことでも構いません。付箋やメモ帳などを使って、1つずつ書くことをおすすめします。
抱えている悩みや気になることを、心の中を大掃除するつもりでピックアップ。書くことであなたの悩みがはっきりしてくるでしょう。
この作業は、あなたがこだわりたい点もわかるので、とても大切です。
書き方の例
- 仕事場までが遠く、通勤時間がかかりすぎる。
- 仕事がハードすぎて、休憩時間も取れないほど忙しい。
- カレンダー通りに休みを取れるはずが、週一しか取れない。
- 会社のある場所の治安が悪い。
- 誰でもできる仕事で興味が持てない。
- 内容にやりがいがない。
- 難しいすぎる仕事でいつも怒られてばかり。会社でいじめられている。
- 仕事以外の飲み会やイベントには絶対参加の雰囲気で、疲れる。
- 休日出勤や残業が多すぎてプライベートがない。
すべて書き出したら、あなたにとって「辛い」や「我慢できない」と強く感じるものから並べ替えてみましょう。妥協したくないと思う点が明確になり、何を優先すべきかが見えてきます。
なぜここまで細かく書き出す必要があるでしょうか。それは、「仕事」があなたの人生にとって大きな時間を占めるからです。だからこそ、どんな細かいことにでも向き合うことが大切です。
細ければ細いほど、解決できる方法も出てくることも事実。本当に転職するのなら「人生のターニングポイント」となるので、とことんやることがマストです。
解決できそうな問題、解決できない問題に分ける
それでは次に、上記で並べ替えた問題を、さらに仕分けしていきます。
「辞める気で頑張れば解決できるかもしれない問題」と「自分ではどうしようもない問題」の2つに分けていきましょう。
一つづつを付箋やメモに書けば、簡単に仕分けすることができますよ。
「辞める気で頑張れば解決できるかもしれない問題」とは?
転職する前に「行動できる項目」を、はっきりさせることができます。今までと違ったやり方を試すことや、角度を変えてみることを試すよい機会となるでしょう。
ただ耐えているだけでは、今の状況は何も変わりません。あなたが抱えている問題を解決するために、あなた自身が動くのか、周りの人に協力してもらうのかなども見極めることが大切です。
例えば
- 上司に相談して、仕事の効率化を図る。
- 人事に相談して、移動願いを出す。
- 自分の仕事の仕方や、人との関わり方を変える。
自分の意見を伝えることで、上司に嫌われ評価が下がるなどと、不安に思うかもしれません。ただ、転職をしたいと思うほど悩んできたのであれば、行動起こすことも思慮に入れましょう。
「自分ではどうしようもない問題」
物理的に解決できない問題を指します。その重大性などを見極めて、しかるべき対処を取ることが大切です。抱えている問題が、実は、会社または社会の制度を利用して解決するかもしれません。
上司や人事への相談も早急におこなうことをおすすめします。
- 家族の介護があって転勤や出張ができない。
- 入院や通院が必要になった。
- 事情により、通勤時間を短縮しなけれなならなくなった
会社でなんらかの優遇措置を施してくれ、解決する場合もあるかもしれません。そうでなくても、相談することによって「転職を考えるくらいの問題である」ということを示すことができます。そのことによって、退職の際、無理に引き止められることが抑えられるかもしれません。
安易に転職を考えるのはタブー?
「人間関係が辛い」「仕事がつまらない」などといった理由でも、転職したいと思うことはあります。もちろん、自分の可能性や世界を広げるのは素晴らしいことで、そのような理由での転職も人生の選択のひとつです。
しかし、前述のように自分の心と向き合ったときに、ただ「逃げたい」という気持ちでしかないと気づいた場合、解決策がないかどうかも考えるべきでしょう。
ネームバリューや勢いのある会社に転職したとしても、配属される部署では期待ハズレなこともあります。お給料が希望通りだとしても人間関係が悪かったり、逆に仕事内容がどんなによくても、お給料が下がる可能性も出てくるでしょう。
転職について思案する際、あなたが会社で働くことの意味、「どういう人生にしたいか」にフォーカスして考える必要が出てきます。
転職は人生のターニングポイントになるからこそ、以下のこともチェックしてみましょう。
今の会社でのスキルアップは不可能か?
自身で選択した会社ということは、その会社の仕事内容にやりがいなどを感じて入社したのではないでしょうか。今の会社に、何か一つでも自分の「やりたいこと」が残っていないかを考えてみましょう。
例えば、仕事内容によっては給料をもらいながらスキルアップができる職種もあるでしょう。また、会社で資格や語学の勉強が可能だったり、授業料の補助・もしくは無料の制度が確保できるなら、利用するべきと言えます。
福利厚生などを今一度しっかりとチェックして、転職を希望する先と比較し、今の会社にいることを最大限活用出来るよう見直すことも考慮に入れましょう。
苦手な人との人間関係は克服不可能?
仕事をする上で、人間関係はとても大切です。パワハラ・セクハラがあるのなら、しかるべき対処を取り、きっぱりと転職する必要もあるでしょう。会社にしっかりと訴えた上で、さっさと逃げるのも手です。
ただ単に苦手意識がある相手の場合、仕事をする上で頼りになる人であれば、接し方を変えることも打開策といえます。相手の行動や言葉のパターンを理解して、仕事をしやすい環境をつくることもできるでしょう。
「この人のために自分が骨を折るのが面倒!仕事をしに来ているのに。」と思う気持ちもあるかもしれません。しかし、その人のために自分が転職しなければならないということにも、納得はいかないはずです。
社内で尊敬できる上司や先輩がいるなら、その方々について仕事を学ぶこともできるでしょう。あなたにとって経験値を積める人、得るものが多い人との関係を深くすることもできます。
尊敬する人も見当たらず、先輩たちの姿を見て将来に希望が持てないなら、転職を考えてもよいのかもしれません。
仕事の効率化など見直しは?
やりがいのある仕事であっても、時間が足りず残業を余儀なくされることがあります。残業が続くとプライベートの時間が減り、仕事をすることが辛くなります。その仕事量に対してのお給料が見合ってなければ不満な気持ちが大きくなります。
そこで、思い切って仕事の効率化を図ることを考えてみましょう。優先順位をつけることや、同じ部署で仕事を割り振れることができるかどうかも考慮に入れます。苦手な分野の仕事だとしたら、変更してもらうという相談をするのもよいでしょう。
誰も「効率化」について言い出さないからといって、ただ耐えているだけでは、状況が変わるはずもありません。転職を考えているくらい追い詰められているのであれば、辞める前に提案してみるのも一案です。
仲間や上司に相談して解決策を出し、全力で仕事をおこなった結果、それでも充実感が得られない場合や残業が解消されないのなら、転職を考えてもよいかもしれません。
まずは、今の会社で他にやるべきことはないのか?打つ手はないのか?を考えて、それを1つずつクリアしていくことにも注目しましょう。
仕事もやるだけやって「これ以上できない」というところまでやり切ることが大切です。
社外の人間に相談してみる
社外の知人、友人、家族などに相談してみましょう。これは「アドバイスをもらう」ことと、「自分の心がどう動いたかを確認する」ことが目的です。
アドバイスに関してそれに従うというよりは「さまざまな考え方を知る」というために実行します。そのアドバイスに対して、自分の心がどう反応したかを知ることも大切です。
人に話すことで自分の考えがまとまったり、「気づき」があることもメリット。雑談や愚痴のような会話の中で解決策に気づけることもあり、現職のままでも問題ないと感じることもあるでしょう。
「やっぱり転職しよう!」転職を決めたときの心得とは
さまざまな角度から現状を考えて、それでもなお「転職したい」と思うならば、決断の時かもしれません。転職するなら、できる限りの情報を集めましょう。
仕事の内容・条件をしっかりと決める
今の仕事と似ている仕事や業界であれば、即戦力になることもできます。ただ、その仕事が本当にやりたいかどうかの見極めを、転職活動をきっかけにおこなってみましょう。
仕事の内容・希望する条件、時間・お給料・待遇など、自分の中でのラインをしっかりと決めておくことも大切です。
退職せずに転職活動をする
転職を希望しているとしても、すぐ今の会社をやめてしまうのはとても危険です。「一秒でも一分でも早く辞めてしまいたい」と思う気持ちがあったとしても、マイナスポイントに可能性を秘めています。
そのマイナスポイントとは「キャリアの空白期間」ができることです。面接や書類選考の際に、履歴書に仕事をしていない「空白の期間」があるのはマイナスの印象を与えることに。仕事をしない期間はスキルも向上せず、経験値を上げることもできないという意味になるからです。
次の就職先を決めてから、退職することを考えましょう。
新しい仕事を探すなら転職・求人サイトで!
次の転職先をスムーズに見つけるためには、掲載社数が豊富な大手転職サイトがおすすめです。休憩時間や移動中、仕事終わりなどに、お手元のスマートフォンで簡単に仕事を探せます。
- 女性におすすめの転職サイト
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20~30代の女性の転職シーンで多く使われている求人サイトです。派遣の仕事が多くを占め、事務、軽作業、医療系など幅広い職種の仕事が掲載されています。現在、その求人にどのくらいの応募がきているかが分かる「応募バロメーター」や、職場の雰囲気が掴みやすい「動画でのお仕事探し」など、他サイトにはない嬉しい機能も充実しています。
その名の通り、女性の転職に特化して作られている転職サイトです。求人広告内に、女性目線での取材レポートのコーナーがあったり、「産育休活用有」「育児と両立OK」「女性管理職有」「時短勤務あり」など、働く女性にとって使い勝手のいい求人検索ができます。事務・経理・人事系、営業・企画・マーケティング系、サービス・販売系など、幅広い求人が掲載されており、そのどれもが女性に特化したものになっています。
会社の将来性などを把握する
「転職するのだから妥協はしたくない」と思うのは間違っていません。ただ、知名度の高さやイメージだけで選ぶのは危険です。会社の規模だけでなく、将来性や利益なども調べることも大切と言えるでしょう。
転職を希望する会社のホームページを見て、設立の目的や事業に対しての考え方、理念について確認しましょう。また、その会社の商品やサービスに、将来性や独創性があるかなどもチェック。ホームページのサービス内容を把握し、購入できる商品や店頭でチェックできる商品であれば、実際に触れることも有効です。
有料ではありますが、「帝国バンク」では、個人でも細部にわたって企業情報を入手できる「TDB会社情報」を提供しています。
参考:帝国バンク
また、会社の口コミサイトも確認しておいた方がいいでしょう。希望する会社の社員や元社員、実際に面接を受けた方など、応募する前にリアルな声を見ることができます。
キャリア・コンサルタント(カウンセラー)を利用する
転職について誰かに相談したいと考えるなら、キャリア・コンサルタントを利用するという方法もあります。
キャリア・コンサルタントとは、就職希望者に対して相談・支援をおこなう専門職。適正・能力・経験などの情報から、その人にあったキャリアデザインをしてくれます。ただ仕事だけにフォーカスせず、人生設計を考えた提案をしてくれるでしょう。
キャリア・コンサルタントは、人材を募集する企業からの紹介手数料で事業が成り立っているため、転職の相談は基本的に無料。ご自分の希望する業界に精通しているコンサルタント会社を探すことをおすすめします。
まずは気軽に声をかけられるコンサルタント会社に登録してみて、どのような感じで仕事を紹介してくれるのか体験してみるのも勉強になります。
人材紹介の大手ネオキャリアさんが運営しているので安心して任せられます。
資格を取ることを最優先してみる
すぐに転職をするよりも「計画的に自分の望む仕事に就きたい」と考えるなら、まず資格を取ることも有意義と言えるでしょう。すでに持っている資格をレベルアップさせることや、転職に有利とされる資格などを考慮に入れます。
転職するまでの期間を目標に、計画的に過ごすことで日々に張り合いも出てくるでしょう。
参考:マイナビ転職
▼女性の転職におすすめ資格をまとめた記事はこちら▼
転職フェアに参加する
転職するなら、もっと視野を広げたいという希望も出てくるでしょう。その場合は各地域で開催される「転職フェア」などに参加して、触れたことのない仕事・会社・業界に出会うこともおすすめです。ハローワークやネット上の情報だけでなく、生の声も聞けるのがメリットと言えるでしょう。
フェアによっては150社以上の会社が参加することも。マッチングガイドコーナーが設けられ、個別相談にも応じてくれるブースもあります。
一般に求人を公開していない企業も多く参加し、人事担当者からの事業内容を聞けるのもよい機会。参加企業によっては会社説明会を行いつつ、一次面接を兼ねていることもあり、次の面接の日程を告げられることもあります。
面接の勉強にもなるので、活用する価値は大いにあるでしょう。
参考:転職フェア
派遣社員をしながら転職活動
すぐにでも辞めたいと考えるなら、派遣社員に登録して働くことも一つの手段です。
派遣社員としてフルタイムで働きながら転職先を探すことは、決して容易ではありません。しかし、定時で帰れる条件の仕事や、3ヶ月などの短期の契約もあり、計画は立てやすいと言えます。
また派遣会社では、さまざまなスキルアップ支援が用意されているのもメリット。無料の講座から優待制度のある学校の紹介などもあるので、活用してスキルアップを図るのもよい方法といえるでしょう。
まとめ
転職は人生においてチャンスでもありますが、選択を間違えるとピンチにもなります。
だからこそ、まずは色々な角度から現状を客観的に見ることや、未知の業界にふれることも考慮に入れましょう。