社内不正と言えば、主に大企業がしてしまい、新聞やニュースを賑わせるイメージがあるかもしれません。
しかし、実際のところ社内不正が多いのは、大企業よりも中小企業の方が多くなっています。そして、世の中のほとんどの企業は中小企業です。
もしかすると、この記事をご覧のあなたも「もしかして社内不正?」と思ってしまうようなことがあったかもしれませんね。その時あなたはこう思ったでしょう。
- 社内不正かもしれないけど証拠がないからどうしよう。
- 社内不正の証拠を掴んだけど誰に言えばいいの?
- 告発したことで不利な立場にならない?
そこで今回は、社内不正とはというところから、発見した時の振る舞い方など詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
- 社内不正のほとんどは認識不足や内部統制の甘さが原因
- 社内不正を発見したら、必ず事実確認
- 告発はひとりでは動かず、弁護士に相談する
Contents
社内不正とは?
まず「そもそも社内不正とは?」からお話ししていきます。
社内不正のほとんどは、経営者や幹部の不正に対する認識不足や、内部統制がしっかりできていないと言ったことが原因になっています。
大きく分けると社内不正は「粉飾決算」か「資産の不正流用」に分別できます。
「粉飾決算」とは、主に経営者自身が行う不正です。
財政状態を都合が良いように表示するもので、資産の過大表示をしたり負債の過小表示をしたりといったことです。
もっと分かりやすく言えば、実際はそうではないのにも関わらず、経営がうまくいっているように見せかけることです。
「資産の不正流用」とは主に従業員が行う社内不正で、会社の財産の横領や着服が該当します。
たとえば、食材の持ち出しやレジの中のお金を盗んでしまうと言ったことが「資産の不正流用」です。
この資産の不正流用には、以下の3つのパターンがあります。
- 社員が単独で行う
- 社員同士が共謀している
- 社員と外部の者が共謀する
ひとつずつ解説していきます。
社員が単独で行う
社員が単独で行う不正の最大の特徴は、1回の不正の金額がそれほど大きくないことです。
その理由としては、会社のチェックが及ばない範囲で行うから。1回あたりの金額は数百円であっても「チリと積もれば山となる」状態になってしまい、最終的な累計の被害総額は大きいものになります。
また、不正は一度行なってしまうと癖になってしまうものです。加えて、社員単独の不正は身近に起こりうる不正であり、なかなか防止がしづらい不正と言えるでしょう。
社員同士が共謀している
社員同士が共謀して不正を行う場合は単独で行う不正よりも規模が広がり、複雑化するケースが多くなります。
最悪の場合、社員と承認者が共謀して不正な経費や領収書を承認してしまえば、なかなか明るみにならず発覚が遅れてしまうことも多いようです。
社員と外部の者が共謀する
他にも社員と会社外部の物が共謀するケースもあります。実はこのパターンが一番発覚しにくいもの。
社外も巻き込んでいるため、社会全体の信用問題にも影響を及ぼすことがあり、問題が複雑化していることもあるのです。
自社では全く気付かなかったものの、発覚した時には手遅れとなっていることも多々あります。
最初にするべきこと
もし、あなたがこれは不正なんじゃないかと思うようなことに直面した場合、まずしなくてはいけないことは落ち着くことです。
不正をしたかもしれない相手に対して、信頼や好意があった場合はなおさらです。間違っても動揺したまま問い詰めるようなことはしてはいけません。
落ち着いて冷静になった後は、以下の順番で状況を整理していきましょう。
- 本当に不正が事実なのか
- 告発するとしてそのメリットが自分にあるのか
- 告発をして自分に何かしらの被害が及ぶ可能性があるか
ひとつずつ解説していきます。
1.本当に不正が事実なのか
社内不正の問題は本当にデリケートなものです。
万が一、その不正が自分の勘違いで冤罪だった場合は、今後の自分の立場が悪くなってしまいます。
もし、帳簿や経理精算書などの資料を直接確認でき、確固たる証拠がつかめるのであれば客観的な視点で判断をしましょう。
反対に、そういった証拠が客観的につかめない場合は、その場では深追いをしない方がいいかもしれません。
というのも、上層部や社内の窓口に報告をするにしても、証拠がなければ説得力に欠けてしまうからです。
2.告発するとしてそのメリットが自分にあるのか
何らかの証拠をしっかり掴んだ上で、次に考えるべきことは告発するかどうかです。しかし、告発をするにあたって、そのメリットが自分にあるかどうかを考える必要があります。
もちろん不正は見逃すべきことではありません。
とはいえ、告発をするというのは告発をした自分の名前が相手や社内にばれたり、それによって自分が何かしらリスクを背負ったりする可能性もあります。
そのあたりのリスクまでしっかり考えた上で告発をしましょう。ただし、多少のリスクはありながらも告発をしなくてはいけないケースもあります。
3.不正によって自分に何かしらの被害が及ぶ可能性があるか
不正の証拠を掴んだ段階で早急に対策や告発をしなくてはいけないケースとしては、不正によって自分に何かしら被害が及びそうな時です。
たとえば、全く認識がなかったにせよ、横領の手助けになっていたといった場合です。このような時は、その不正行為によって自分も共謀者と捉えられてしまうこともあります。
他にも様々なケースがありますが、いずれにせよ自分に被害が及びそうであれば否応なく何かしらの対処をしなくてはいけません。
社内不正告発は慎重に

上記で説明した3つを踏まえた結果、告発しようと考えた場合はより慎重に動いていかなくてはいけません。
やはり告発にはリスクが伴うからです。そうなると一人で動くのではなく、専門家にまず相談するのが一番です。
この場合の専門家は弁護士。
最近では決められた時間であれば無料相談できる弁護士事務所もあるので、そこで不正に対する対処法を聞くと良いでしょう。
その上で具体的な告発を行っていきます。
不正のケースによって流れは異なるかもしれませんが、基本的な方法としては以下の通りです。
- 企業内への告発
- 行政機関への告発
- 新聞社やSNSでの告発
ひとつずつ解説していきます。
企業内への告発
社内にコンプライアンス室や専用の窓口がある場合は、そちらに内部告発をします。
電話やメールによる連絡方法が一般的ですが、電話の場合は番号通知がされないように。メールの場合は、普段のアドレスを使わないなどに注意しましょう。
ただし、企業内で解決できればいいのですが、そうでない場合もあります。特に今後マスコミ公表すると考えている場合は、書面での通知をおすすめします。なぜかというと「公益通報者保護法」が適用されるためです。
「公益通報者保護法」は書面によって、企業に通報した日から20日を経過しても企業が調査を行わなかった場合、マスコミに通報した人を保護するものです。
行政機関
行政機関に通報するのも有効です。
その場合は、名乗り出た方が調査を行ってくれる可能性が高くなりますが、匿名でも告発は可能です。
また、多くの方は行政機関といっても、具体的にどこに通報すればいいかわからないもの。
消費者庁のサイトでは、キーワードを入れると適切な通報先と該当する法律名を検索できます。
また、問い合わせ窓口もあるので、必要なときは活用してみると良いでしょう。
新聞社やSNS
新聞社に情報を提供する・不正をSNSで公表するといった方法もあります。ただしこれを行うときは、細心の注意を払わなくてはいけません。
万が一、事実でなかった場合は、会社や疑いをかけられた人の人生に大きな影響を与える恐れもあります。
また、場合によっては公益通報者保護法の対象とならないことも。いずれにせよ、この告発方法は裏付けがあり、100%事実と言い切れる時の最終手段と言えそうです。
社内不正告発で不利益を被った場合は
告発の内容が事実で調査が入った場合、会社から不利益を被ることが考えられます。主な不利益の例として、不当な解雇や減給退職に追い込まれるようなケースも。もちろん、これは許されることではありません。
公益通報者保護法は公益のために告発を行った人が、社内や組織で不当な解雇や減給などをされないように定められているものです。
しかし、不利益を被った場合は法律に基づいて対応していく必要があるので、必ず弁護士に相談をしましょう。
基本的に、法律は告発した人に対して味方になってくれるものなのです。
とにかく慎重に動こう
このように、社内不正の内部告発は簡単にできるようなものではなく、不正を確定できるほどの証拠集めや弁護士への相談をしなくてはいけません。
最終的には、行政機関や新聞社SNSを通じ情報提供するといった、告発した側も大変な思いをすることがあります。
しかし、社内不正を発見して気づかないふりやなかったことにするというのも心苦しいですし、対応を間違えてしまった場合、こちらへのリスクも大きいものです。
日頃からどうしたらいいか・いざというときにどうするべきか、この記事を参考にしてみてくださいね。